大名や貴族たちに楽しまれていたお花見が、庶民にまで広まった江戸時代、お花見だけでは飽き足らず、人々が四季折々の花や木に囲まれた生活を望んだ生活スタイルがありました。幕末に来日した外国人達の多くが、江戸の町が花と緑に満ち溢れていることに驚きました。実はヨーロッパの花や庭の文化は、元はと言えば江戸文化に影響されたものだったのです。強烈な色彩と激情的な筆致で、それまでの表現の流れを変えた画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホもまた浮世絵から大きな影響を受けた一人です。

今年、高知県立牧野植物園で開催された、花・人・土佐であい博「花遊山」の作庭のチャンスをいただきました。作庭のコンセプトとして、ゴッホと同じ印象派で、やはり江戸文化の影響を強く受けたクロード・モネの睡蓮の池をイメージしました。(モネの自邸には約200点もの浮世絵が飾られ、庭には日本から取り寄せた菖蒲、牡丹、竹や柳が植えられていたとのことです。)

刻々と微妙に変化する光を追求し、その光の移ろいによって一日のうちに幾度も表情を変える庭を、高知市在住のボランティア6名の皆さんと一緒に作り上げました。手伝っていただいたボランティアは証券会社のOBさんや料理人、主婦の方など年齢も立場もさまざまな方々でしたが、博覧会の最大のテーマである「であい」を、協力し合って楽しく表現できたと思います。

高知は花や農産物など、安心・安全のものさしで地方都市の魅力を作っていると感じます。縁あって皆さんがご存じのひまわり乳業さんの、地場産品で作られた「高知育ち」シリーズのデザインに関わらせていただきましたが、多くの可能性を秘めたすばらしい商品です。今後も、であい博でお会いした仲間と、花や農産物などを媒体として、江戸文化に倣い国内にとどまらず世界に誇れる高知文化、新しい地方の時代を作るお手伝いをして行きたいと思っています。
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